殺処分ゼロという自治体のからくりを知ると実態はまやかしのようだ!

2019年の動物愛護法(正式名称:動物の愛護及び管理に関する法律)改正で、犬や猫への保護が進展しました。
※動物愛護法改正の3つの骨子は本記事の末尾で明示してあります。

犬や猫への虐待防止などという保護の観点での改正は喜ばしいことです。
しかし、命を絶ついわゆる「殺処分」の実態が厳然として残っています

スポンサーリンク

殺処分ゼロは自治体に課せられた動物愛護法上の努力規定です。

動物愛護法には2013年の改正で、自治体に対する、「返還・譲渡」の努力規定が設けられました。
この規定の趣旨は「殺処分がなくなることを目指す」ということが条文上明らかです。

第三十五条
4 都道府県知事等は、第一項本文(中略)の規定により引取りを行つた犬又は猫について、殺処分がなくなることを目指して、所有者がいると推測されるものについてはその所有者を発見し、当該所有者に返還するよう努めるとともに、所有者がいないと推測されるもの、所有者から引取りを求められたもの又は所有者の発見ができないものについてはその飼養を希望する者を募集し、当該希望する者に譲り渡すよう努めるものとする。

しかし、「殺処分ゼロ達成」を謳う自治体でも、その自治体の運用のからくりによって、実は殺処分が行われている実態があります。

自治体が犬猫の殺処分をしても殺処分ゼロ達成と公表できるからくりとは?

環境省が2019年度から、「攻撃性がある」などと判断した犬猫を「譲渡不適切」と分類し、それらを殺処分しても、これまでの殺処分数から除く数え方に変更するためです。

自治体には動物愛護法35条第4項で、犬猫の返還・譲渡の努力規定が課せられています。
これまでは理由のいかんにかかわらず、殺処分した場合は「殺処分数」として計上されていました。

しかし、2019年度からは、自治体で「譲渡不適切」と判断した場合は、それらの犬猫を殺処分したとしても、「殺処分数」として計上しない取り扱いが許されることになるのです。

こんなことでは、たとえ「殺処分ゼロを達成しました」などと公言したとしても、ほとんどが詭弁でありインチキだということになります。殺処分していることは確かなのに、殺処分していないことにしていいよ!と、環境省がお墨付きを与えたも同然です。

環境省ホームページより 旧基準による統計表
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

犬猫殺処分ゼロを公表した東京都でも実は殺処分が行われていた!

2013年施行の改正動物保護法で都道府県などの自治体は「殺処分をなくすことを目指す」という条文が盛り込まれたことは前述したとおりです。そのため多くの自治体が、収容した犬猫の譲渡先を探して、殺処分ゼロを目指しています。

2018年度に「犬猫殺処分ゼロ」を達成したと東京都が公表しましたが、実は「譲渡不適切」と分類した犬猫を146匹も殺処分していたそうです。また、収容中に怪我や病気で死んだ犬猫も211匹いたようです。
実際に殺処分を行っている時点で、「犬猫殺処分ゼロ」を達成したというのは全くの詭弁ですよね。

犬猫だからといって人間に生殺与奪の権利など与えられていない!

犬や猫だから簡単に殺処分を許してもいいのでしょうか?

いいえ、だからこそ動物愛護法の改正で「殺処分がなくなることを目指して」と明記されたのです。もちろん、それまでの反省に基づいていることは言うまでもありません。

犬や猫もかけがえのない命です。
人間に、かけがえのない命に対しての生殺与奪の権利など与えられていません。
犬や猫は何ら害悪をもたらしていないのに、処分される謂れはありません。

もともとは人間の身勝手な行為から繁殖した犬や猫たちです。
「もう、しんどいから飼えない」「多頭飼いをしたけど避妊してなかったから、どんどん増えて行った」…そんな事情から、家から野に放たれたであろう犬や猫たち!

人の身勝手な行為がなければ、幸せな生涯を遂げたであろう、本来は何の罪もない犬や猫たちです。

そんなかけがえのない命を人間社会の都合で抹殺はできません。

ですので、「譲渡不適切」という名目で、殺処分数を操作することは許されることではありません。
殺処分数の数え方変更は、世間の目を欺くために設けられた制度です。

しかも、「譲渡不適切」の判断基準やガイドラインは、各自治体でバラバラで統一基準はありません
何らの基準も定めていない自治体も数多く存在します。
先ほどの東京都もガイドラインを持っていないのです。

つまり、人が恣意的に「譲渡不適切」の名のもとに殺処分を行っているのが実情です。

殺処分と同様に許せないのは動物虐待ですね。
想像を絶するような犬や猫への虐待の実態が、時には全国紙でも報道されています。
これ以上、動物虐待を放置すると人の心の崩壊に歯止めがなくなりそうです。

動物愛護法の「殺処分をなくすことを目指す」を実現するためには!

動物愛護法の立法趣旨を没却した運用が独り歩きしている感が否めません。

動物愛護の精神をないがしろにする、人間のおごりの部分は断固否定されるべきです。
ただ、犬や猫を収容した時点で、致命的な怪我や病気の場合は、もはや寿命だったと諦める場合もあるでしょう。

問題は「譲渡不適切」の分類です。
動物愛護法では収容してからの、返還・譲渡が根底にあります。
しかし、返還・譲渡が困難だった場合に「殺処分」を選択することは動物愛護の精神に明らかに反します。

環境省が先導することにより、「譲渡不適切」な犬や猫のための恒久的な施設を作り上げるべきです。

民間のNPOに全面的に頼ってばかりでは、動物愛護法が形だけのものになりかねません。
「譲渡不適切」な犬や猫でも、生涯を全うできるような安心な施設の構築が急務だと考えます。

2019年動物愛護法改正の3つの骨子

これからも、もっともっと動物愛護のために法律が改正されることを願います。

2019年の改正点の3つの骨子は…
1 犬や猫へのマイクロチップ装着を義務化

2 動物虐待罪を厳罰化
※現行の「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」から「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」に引き上げ:裁判所は英断をもって事案に当たって欲しいです。

3 生後56日以下の犬、猫の販売を禁止
※この点、犬猫の販売(売買)が早く禁止になるように望みます

さいごに

「譲渡不適切」に対しての全国的な基準もありません。
すべては各自治体の判断にゆだねられています。

ということは「殺処分ゼロ」が目的化してしまい、闇から闇に葬る「譲渡不適切」による殺処分が横行しかねません。環境省のお墨付きのせいで、自由裁量の殺処分が増えても統計上明らかにはなりません。

かけがえのない命を守るため、保護するために動物愛護法が制定されたのですから、「譲渡不適切」などというまやかしは排除されるべきです。

もともとは人間の所業で犬や猫がいたずらに繁殖したのですから、その生涯を全うさせてあげるような施策の構築を強く望みます。